ちゃんすの幼少期は、黒子が仕事中、「一人で家で留守番」がなかった。
なぜかと言うと、ちょっと変わっていて、黒子が仕事場へ行く時、ちゃんすも一緒に黒子の仕事場へ出勤し、共に仕事(笑)をし、共に帰宅するというスタイルだったからだ(汗)
今なら、考えられない環境だったなと思うけど、何故か許され、ちゃんすは会社のアイドル的存在だった。
黒子が朝、職場へ行かず出先を回る場合など、会社の人がちゃんすだけを迎えにきて、会社へ連れて行ったりしてた(驚)
会社にちゃんすのトイレとフードやおもちゃ等も完備された、とても猫の育児に寛容な職場だった(笑)
黒子をおいて、ちゃんすの世話を積極的にしてくれる人もいたしね。
皆に愛され、可愛がられたちゃんす。
なので、とても社交的で人間が大好きな猫だった。
というか、この時点で、彼は自分を猫だと思っていなかったと思う。
同じ人間同士という対等な感覚であったような気がする。
この頃の思い出は、会社のお昼に皆でお弁当を食べる時のこと。
黒子は、人間の食事をちゃんすには与えるのが嫌だったので、刺身やお肉、エビなど猫が好きそうなものは与えてなかった。
でも、どこかで?味を覚えたのか、本能なのか、匂いを嗅ぎつけるちゃんす。
黒子にねだっても貰えないと知っているちゃんすは、皆が食べているテーブルの端っこに、背を向けて耳だけこっちに向けて大人しくしているのだ。
誰かが「ちゃんす」って呼びかけてくれるのを待っている。
知能犯だったちゃんすは、決して、自分からクレクレ攻撃はしない。
無闇にクレクレ攻撃などしたら、黒子の逆鱗に触れるのを知っている。
なので、皆の同情を引くように、皆の視界に入る位置で、皆に背中を向け、「別に俺は欲しいなんて思ってないし、興味ないよ」をアピールする(笑)
そして、次は、「俺は、我慢していい子にしてるぜ」って、背中で訴えかける(笑)
そんないじらしい姿に騙される人間が必ずいて、「ちゃんす」っと声をかけると、「んニャっ」と、待ってましたと言わんばかりに、瞬間移動でその人の元へ駆け寄り何かをゲットしてた。
黒子がちゃんすをたしなめても、ちゃんす本人は、「えっ、俺呼ばれただけだもん」ってすっ呆けて、呼んだ本人も「まぁまぁ、良いから」みたいに流して(笑)
ちゃんすの作戦勝ち。人間の方が騙されやすいのであった・・・。
そんなちゃんすは、家ではというと、家のチャイムがなれば、黒子よりも先にお客を出迎えに行き、我先にご挨拶をしていた。
黒子がトイレに入ると、自分も自分のトイレで用をたし、
黒子がご飯を食べ始めると、自分も自分のカリカリを食べ始め、
黒子がお風呂に入っている間は、お風呂場のドアの前のバスマットで待機して、待っていてくれる。
お風呂上りにビールとつまみを食べる時が、唯一、黒子がちゃんすに人間の食べ物を少しだけあげる時間。
それと、ちゃんすと一緒に寛ぎながら、遊ぶ時間。
なので、ちゃんすは酒のつまみが大好きだった。
そして、黒子がベットに入ると、ちゃんすも一緒に寝る。
毎日、毎日、黒子と同じ事をして、いつも一緒だった。
ある時、黒子の大好物のスイカを買った。
一人暮らしだったから大きなスイカは普段は買わなかったけど、「よっしゃ、今日は自分のご褒美に贅沢だ」と、4分の一位の大きさのスイカを購入して、一気食いを試みた(笑)
スプーンで、ザクザクすくって夢中で食べていた時、ふと気がつくと、黒子が食べているそのスイカをちゃんすも一緒に横から食べていた(汗)
たぶん、夜 一緒に酒のつまみを食べる感覚で、黒子が食べているから、俺も一緒に食べられる!て感じだったのだと思うけど。
ちゃんす、お腹壊すよ?
ちゃんすの好みじゃないんじゃない?
それにこれは、黒子の為のご褒美なんだけど・・・。
黒子の問いかけも虚しく、ちゃんすはとても満足げだったのを忘れられない。